2011年12月7日水曜日

商店街の今日的意味

 先日、経済産業省が推進する中心市街地活性化のための人材育成をめざす、街元気プロジェクト( https://www.machigenki.jp/ )主催の商店街現地研修会に参加しました。

今回の研修先は東京都品川区の戸越銀座商店街と北品川商店街です。
戸越商店街はテレビのバラエティ番組や商店街特集でよく登場する全国でも有名な商店街。全長約1.3Km、約400店舗を有し、平日の来街者も1万人を超え、今でも全国最大規模を誇ります。
もともとは知名度もなく、生鮮を中心とする小規模店が多く予算もない、おまけに3つの商店街からなるために足並みが揃わず、苦労が多かったと亀井哲郎戸越銀座銀六商店街振興組合理事長は話す。その後、メディアに取り上げられたり、徐々に知名度も上がってさぁこれからと言う時にバブルが崩壊、戸越銀座と言えども衰退化の歯止めがかからない日々が続きます。

商店街に地元客が集まらなくなってしまった理由を聞いてみると…。
「共働き世帯が増え、多くの住民は朝9時に出勤し夜9時に帰宅する一方、商店街の営業は朝10時から夜8時まで。勤め人が商店街で買い物できるのは土日・祝日たげですが、お店の大半は休み。

「とごしぎんざ」の名入れケーキ
大型店やディスカウント店に行けば豊富な品ぞろえで価格も安く、コンビニやチェーン店なら深夜まで営業している。」 つまり、「地域住民のライフスタイルと完全にかけ離れ、地域コミュニティの核としての地位も失ってしまった」からだとも言う

亀井さんの奥様は、「今の商店街では欲しいもの、買うものがない」と嘆く。

そこで、亀井さんは「もう一度、必要とされるにはどうしたらいいか」と考え、有志参加の活動に奮闘する。戸越コロッケの開発に始まり、戸越銀座ブランドのオリジナル商品化やマスコット・キャラクターを育て様々な集客イベントにも積極的に取り組む他、通信インフラの整備と電線類の地中化の推進、更には商店街の販促プロダクション会社の設立にも奔走しています。

さて一方の北品川商店街は品川から京浜急行で1駅の新馬場駅を最寄とする、戸越銀座に比べれば規模は小さいものの、旧東海道品川宿としての歴史と風格が漂う商店街です。


この商店街が変わるきっかけは、「東海道五十三次シンポジウム」にあったと、旧東海道品川宿周辺まちづくり協議会の堀江新三会長は振り返ります。 旧東海道の各宿場街の会合に参加して、そこで五十三次の最初の宿である品川周辺地区の街づくりへの期待感の大きさと、品川地区の歴史資産とその意味の重さを深く思い知ったと語る。


そこから、地区の求心力が一気に加速、本格的な取り組みが始まったとの事。
中でも、平成21年1月に空き店舗跡にオープンしたまちづくり拠点「品川宿交流館 本宿お休み処」が思いもかけない方向に進展します。

地元で仕事もなくフラフラ遊んでいた若者たち(失礼!!)に交流館の留守番をさせてから、商店街にまったく寄り付かなかった若者たちが集まるようになり、地域とのコミュニティの場へと大きく好転、やがて若者たちがまちづくりに積極的・自発的な関わるようになって、今ではこの地域には欠かせない貴重な人材に成長しています。
人力車をつくって自分で引く者や、バックパッカーのための宿屋を始め世界中のバックパッカー仲間にネットで発信したら、いきなり問い合わせや旅行者が集まるインターナショナルな街に変身、めざましい成果を挙げています。

江戸の面影と外国からの訪問者との意外な組み合わせは、何ともクールではありませんか。


今回の研修で思うのは、戸越銀座はごく普通のありふれた商店街(全国にある典型的な形態と言う意味なので、失礼をお許しください)ゆえに、これと言う売り物がなく、地域住民の無関心も手伝って、商店街の活性化は商店主が立ち上がらないと何も事態が好転しない現実に直面していないか…。
もともとが近隣型の商店街だったのが、規模が大きくなり知名度も上がることで地域型から、更に土・日は広域型ともいえる集客力を持つことで、逆に戸越銀座の性格を曖昧にしているのかも知れません。非常に難しい状況にもかかわらず、それでも住民も店主もあまり生活に困っていない、都心に近い恵まれた地域性が裏目となっていないかとも感じられました。
商店街の衰退を自分の事として真剣に取り組んでくれる店主はほんの一握りという現実からして、亀井さんのご苦労は今後も続きそうです。

一方、北品川は品川宿という地域のアイデンティティがはっきりしているだけに、商店街と言うよりも地域の活性化へと、まちづくりの意識が戸越銀座よりもはるかに高く、若者をはじめとして地域住民が活動に参加している点は大きな違いです。新しいマンションが立ち並び、そこに移り住んで来た住民も、この地の祭りに誇りをもって参加して、神輿担ぎにも喜んで加わるそうです。

公園の松と海風がなじむ
 まさに、本物のシビック・プライドです。

ここに、商店街や中心市街地活性化のヒントがあるように思います。
今回の研修には、全国の自治体から10数名が、1~2泊の出張で参加されましたが、いずれも中心街の空洞化と衰退、商店街のシャッター通り化と空き店舗対策にご苦労されていました。
特に大分県から参加された方は「地元には既に若者がまったくいない」と、品川宿の環境をとても羨ましがっていたのが印象的でした。

また、天下の三菱総研さんまでも、商店街研究に取り組む姿は今日の深刻な状況を共有する良い機会となりました。

みなさん、お疲れ様でした。

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