先月、9名の有志による「吉祥寺ハーモニカ横丁視察ツアー」を開催しました。
案内役は「ハーモニカ横丁」について現在執筆中の桑原才介さんです。桑原さんは20年以上も前から「中年探偵団」を組織して話題の街をくり歩き、著書「都市ごころを読め」などを上梓された街歩きの達人です。今回は吉祥寺駅を中心に半径500mの円周に沿って北・西・南・東の順に一周、2時間近くかけて吉祥寺のホットスポットを巡りました。
ハーモニカ横丁のルーツは、第二次世界大戦後の1940年代後期、荒廃した吉祥寺駅前にできた闇市が出発点。その闇市の名残で、今も約3,000㎡の敷地には入り組んだ路地に93店舗がひしめき、人がやっとすれ違うことが出来る程度の路地を、お店の掛け声を背中に見知らぬ人とすれ違い進んで行く様は何とも刺激的で、懐かしさと怪しさの混在する異空間体験が横丁の大きな魅力となっています。
駅北口から平和通り、吉祥寺ダイヤ街ダイヤ街、武蔵通りに面した位置にあり、横丁は東側(JR吉祥寺駅側)から仲見世通り、中央通り、朝日通り、のれん小路、祥和会通、の5つの通りで構成され、飲み屋街としても有名であり、夜になると仕事帰りの客らが集い、昼とは違った賑わいを見せています。
ハーモニカ横丁の名前は、武蔵野市に在住していた作家の亀井勝一郎氏が、小さな店舗が沢山立ち並ぶ様を、楽器のハーモニカに例えた事に由来しているそうです。
さて、今回のハーモニカ横丁ですが、今でも大人気の繁盛店、魚の「なぎさや」、和菓子の「小ざさ」、肉の「サトウ」など、行列の絶たない老舗が頑張る一方で、VICの手塚一郎さんによる「ハモニカ・キッチン」や「ヤキトリてっちゃん」、「SOCO」「FOODLABO」、「ポヨ」、「モスクワ」、「エイヒレ」、「MISHIMA」などの飲食店・カフェ・居酒屋が、路地のあちこちに新しい店を次々と出店、ハーモニカ横丁に新風を送り込んでいます。こうした短期間での出店の嵐が大きなインパクトとなり、新たな客層を呼び込む事に奏功し、にわかに横丁が活気付いていました。
行列の出来る肉のサトウ、仲見世通りのなかだ屋、今でも量り売りの漬物屋、和菓子の小ざさ
若いお客で賑わうVICグループの「モスクワ」、「ハモニカ・キッチン」、「ヤキトリてっちゃん」
ツアーの後半は駅の西・南・東方面です。
夏のお盆休みでしかも土曜日とあって、いつもの週末に比較して街を歩く人はまばらとの事ですが、とは言えどの道も通りは人、人で一杯。
JR線高架下の開発や、老朽化・陳腐化が進む駅周辺建物の再開発が検討され、大手資本のチェーン店などが挙って出店する一方で、少しでも賃料条件の良い南口や西・東方面へと商業地が拡大し、小資本ながら個性的でインディペンデントな店舗が積極的に出店する様は何とも対照的で、商業者の旺盛な事業意欲が感じ取れて元気をもらった気がしました。
消費が大きく低迷する中にありながら、街動線が延長され新たな回遊性を生んで隣町の西荻窪まで、商業立地がつながってしまうのではと思わせる勢いです。
文化人や芸能人が多く住む吉祥寺は、今でも住みたい街のNO.1。
また、戦後に移り住んだ方々の高齢化が進む一方で、最近は大規模マンション群の開発なども手伝って、30代ファミリー層の転入が相次ぎ活気を維持しており、事業所や学校も多く潤沢な昼間人口の下で、東京郊外では八王子、町田に次ぐ大きなマーケットを形成しています。
世界でも有数の巨大なマーケットを有する東京圏にありながらも、多くの商店街の衰退が止まらない中で、なぜ吉祥寺だけがこれ程までの活力を維持できるのか、真剣に調べる必要がありそうです。
吉祥寺が属する武蔵野市の人口は13万人。街の規模は地方都市の平均的なサイズと余り変わりありません。なのに…。
大人の雰囲気「汁べゑ」、「いせや」井の頭公園店、アニメファンのメッカ、古いビル中のパッサージュ
今回の視察で最も印象に残ったのは、やはり古いモノと新しいモノが混在し、お互いに「競争」しながらも、「共生」「共存」し、消費者に多様な機会と選択肢をもたらしている事です。新旧・大小がせめぎ合う活力と好循環は何とも羨ましい限りではありませんか。
今も進化を続ける吉祥寺の歴史・文化の厚みと、住宅・商業地としてのポテンシャルの高さに、今更ながらひれ伏したツアーでした。
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